「自分が死んだとき、子供に迷惑をかけたくない」
おおむねすべての人が、同意してくれる感情だと思います。
また最近、「終活」という言葉を見かけることが多くなってきました。
多くなってきた理由は、何でしょうか? 流行り? 高齢化? 少子化?
このような観点も交えながら、「終活」について、まとめてみます。
終活の意味
「人生の終わりのための活動」・・一言で表現すれば、この通りでしょう。
少子化により、高齢者の面倒をみることができる子供世代は、減っています。
なので、子供一人当たりの「高齢者ケア」の総量は増加せざるを得ない状況です。
したがって高齢者の側でも、「できるだけ子供世代に迷惑をかけないようにしよう」というのは、ある意味当然の考えかと思います。
さて、具体的に終活をみていきますが、最近は、以下の二つの意味の「終活」があるようです。
- 家族の負担を軽くするための終活
- 自分の人生を豊かにするための終活
終活はブーム?
「終活」の内容の前に、その背景について考えてみます。
用語としての「終活」
2009年、週刊朝日で連載された「現代終活事情」において、「終活」という用語が初登場したようです。
これをきっかけに、他のメディアでも使用されるようになり、2012年の流行語大賞でもトップテン入りしています。
終活が一般的になってきた原因
以下の理由により、親世代が子世代への迷惑・負担を軽減しようと考え、終活が一般的になりました。
少子化
以前は、親の介護や死後の処理は複数の兄弟や、近くに住んでいる親せきで分担できました。
昨今はご存じのとおり少子化により、「家族一人への負担が大きい」状態です。
高齢化
長寿となり、あるいは介護が必要な状況になると、「精神的にも、経済的にも、子世帯の生活を圧迫する」ようになりました。
家族の負担を軽くするための終活
冒頭にも述べましたが、「子供(家族)に迷惑をかけたくない」というのが終活をおこなうおもな理由です。
「立つ鳥、あとを濁さず」ということわざにも、日本人の価値観が表れています。
身の回りの物の整理
やはり一人の人間が、70年80年と生きていれば、それなりにモノはたまります。
本人にとっては、大切なもの・大事なもの・価値のあるもの、だとしても、家族にとっては不要のもので、「どうやって、処分しようか?」が大問題となります。
なので、自分の意識がはっきりしているうちに、ある程度の断捨離はすべきでしょう。
あるいは、処分について本人の方針を明確にして家族に伝えていれば、家族の負担は軽くなります。
デジタル遺品について
現在、高齢者でもPCやスマートフォンを所持・利用しており、結果として「デジタル遺品」も発生します。
デジタル遺品については、通常の身の回り品とは違った処理が必要です。
- どんなデジタル遺品があるか把握する
- デジタルデータを「残す・処分する」に分類する
- エンディングノートで、データの「残す・処分する」に加え「その方法」(パスワード等)について伝える
(こうして書いてみると、まさにその通りなのですが、自分に置き換えて考えてみると、気が遠くなります。早くから、少しずつ進めていくべきでしょう。)
財産・相続を考えての整理
エンディングノートに、以下のような情報を記載しておきましょう。
それにより、残された家族の負担が大きく軽減します。
預金口座関連・・・通帳、印鑑の場所(ネット銀の時はID、PW)
生命保険・・・・・保険証券の場所
クレジットカード・加入しているカードの種類
葬儀や墓、檀家としての情報整理
自分の葬儀を考えた時、遺族が困るのは「遺影」。
準備をしておきましょう。
また、檀家やお墓がない場合は、自分の死後の希望を書き残しておきましょう。
お寺との付き合いは、戸主である自分しか知らないことが多くあります。
遺族が困らぬよう、お布施の提供時期や額を、家族に伝えましょう。
自分の人生を豊かにするための終活
ここまで書いてきた「終活」は、ある意味『後ろ向き』の事項です。
自分の人生を豊かにするための、『前向き』な「終活」についても、考えてみましょう。
この章では「終活」を、「限られた時間を前向きに生きるためのポジティブな活動」ととらえます。
前章では「家族に迷惑をかけないように」が主眼であったため、本人には結構ストレスがかかります。
残された人生、足腰の大丈夫なうちに、自分の好きなこと、興味のあることを始めたり、深めたりしましょう。
実際何をするかは、個人ごとに異なるでしょう。
好きなことを探し始めるのも、また豊かな人生の一つでしょう。
何といっても、今より早い日はないのですから。
(英語で言うと、There is no time faster than this time.)
残りの人生、豊かなものにしていきましょう。